3458A、R6581、7081について

HP(Agilent)3458Aは標準器として1990年代 前半から現代でも発売しており、現時点でも
発売価格に対して、 性能・確度では他社の8桁半マルチメータを卓越しています。
電気計測超精密研究所でもメインの標準器として複数台使用しています。
エラーが出る故障している物もありますが基本的には壊れにくく長年使用出来ます。
自己テストで出るエラー番号によりどの基盤が故障しているかわかるため、それを別の良品と
交換することで比較的簡単に修理が完了します。内部基準が変わるため完全な最適調整後
全機能・レンジの再校正を必ず実施する必要がありますが最適調整はゼロ、DC10V,10kΩ
だけで基本的には全機能調整完了です。基盤交換の内容によっては高周波関係の最適調整
SCALが必要になる場合がありますが周波数測定の調整(100kHz)、高周波調整3V、1V
0.1Vそれぞれ各100k・2M・8MHzを実施します。最適調整で100kHz以外高い確度は
必要ありません。
3458AはMHz帯も測定可能ですが別の高周波数専用測定器のほうが
測定確度が良い場合もあります。

アドバンテスト R6581も標準器として1990年代後半から現代でも発売しております。
電気計測超精密研究所でもメインの標準器として複数台使用しています。
過入力、パルス過入力などに弱く、適切でない使用ですぐに故障しやすいようです。
直流電流測定時にパルス過電圧(電流レンジであるが高電圧パルス入力)によって内部のシャント
抵抗や交流関係が故障しました。直流10Vレンジの測定安定度自体はかなり良い場合がほとんど
ですが、絶対直線性が悪い物が多く24時間確度から少し仕様範囲外になる物もよくあります。
それでも、8桁半ですので一般的な6桁半よりも高確度で測定可能なのは当然です。

SOLARTRON 7081は上記と同じく8桁半マルチメータですが日本ではあまり流通しておらず
上記2種より設計も一番古いです。1984年製造開始〜1994年〜〜(2003年メーカ校正)〜〜
20??年まで販売されていたようです。専用入力ケーブルが特殊で電圧/抵抗用が1本在庫。
電流や周波数測定機能がありませんが上記2種と比較して
SOLARTRON 7081直流電圧
測定1000Vレンジは高電圧による追加誤差(例:100V以上の場合、?ppm×@を加算)が無い
抵抗測定1000kΩレンジ以上では確度と安定度がとても良いです。〜MΩレンジでは100GΩ
以上まで測定可能となっています。交流電圧は
アドバンテスト R6581よりも直線性、周波数特性
が仕様上と実測値でも優れております。


HP3458Aの性能評価ですが公開されている確度仕様よりもかなり良いことがわかっています。
特に一番基準となるDC10Vレンジでの各種試験を実施し、試験データも公開されている他者サイト
もありますが、残念ながら一番肝心の基準となる
FLUKE 732Bの評価が DC10Vでの校正確度
0.02ppmレベル での毎年の校正・経年変化データなどが無いのとDC10Vレンジの絶対直線性
校正試験の実施・検証などが無いので、あくまでも参考データレベル程度です。

電気計測超精密研究所ではDC10V確度0.02ppm、抵抗10kΩ確度0.3ppmの校正レベルで
毎年校正された機器を基準としています。電気計測超精密研究所ではDC10Vレンジの直線性校正
も実施済みです。
フルーク720Aは外部標準不要で直線性0.1ppmを確認出来る一次基準器です。
HP3458AのDC10Vレンジの直線性は短時間で0.05ppm+0.05ppmとなっておりますので
フルーク720Aを使用して同等レベルの校正をすべてのHP3458A実施しました。試験結果は
もちろん、0.1ppm以内のズレでした。この直線性校正を実施しないと、いくら短時間の安定度
試験データを取得しても、例えば0.1ppmの次が0.2ppmにならないとまったく意味がありません。
抵抗の評価は安定した標準抵抗器はもちろん、正しく測定出来る技術が必要なため、他者サイト
で抵抗の試験データは無いようですが、電気計測超精密研究所では具体的にとても良いことが
わかっており、実測値で10kΩレンジを基準とすると1kΩレンジ、100kΩレンジは1ppm以内
10Ωレンジ、1MΩレンジは5ppm以内になっていることがわかっています。ただし、こちらにある
特別校正済みの
HP3458Aでのみ適用ですので、どのHP3458Aでもそうなっているわけでは
ありません。交流や電流もそれなりに良いデータになっており、一部こちらでも公開されています。
電気計測超精密研究所で実施する特別校正は通常の校正レベルの2〜3ppmではなく1ppm
未満の高確度でDC10V、10kΩを電気計測超精密研究所独自の特別な方法で校正しています。
その他機能・レンジも特別校正済みのため通常仕様より高確度で使用出来ます。
その他、電気計測超精密研究所では
HP3458Aのみを使って1TΩまでの抵抗値を簡易的に
直接測定したりする方法を考えたり、超高安定な電流源として使用するなどいろいろ実験です。

HP3458Aの校正はメーカ校正が一番良いですが、校正料金が8万円前後(参考価格)と高いため
電気計測超精密研究所でも実施可能で、要求する校正確度により校正料金が大幅に変化します。
他一般校正業者などでは、まず実施出来ないDC10Vレンジの 0.1ppm絶対直線性校正試験も
電気計測超精密研究所では実施可能です。

お問い合わせ、見積、ご意見、ご要望、ご質問はこちらまでお願いします。
トップページ  試 験 設 備  電気計測超精密研究所のご案内