電気計測超精密研究所での校正方法と不確かさについて

H.26.1.4 更新

校正方法と不確かさ・トレーサビリティなどはこちら独自の方法と研究で公開しています。
ですので、一般の校正業者や公的機関の校正とは異なる場合があります。
なお、公的機関の校正はいくつかありますし、校正対象・精度などによってもかわりますので
明記しておりませんが、業務上横領などの違法行為などは一切ありません。
公的機関での校正では正規の料金を支払っております。
また、基準器の校正では校正元の機器は立ち会いのもと了承を確認しております。
電気計測超精密研究所は超精密測定が目的であって校正やトレーサビリティなどは
特に重視しておりません。ですが、実際にはトレーサビリティにありますように別々の
基準から複数のトレースを見ています。こちらではそれらのことで十分と考えていますので
別途校正が必要でしたら、納得のいく公的機関での校正などを実施されてください。
国家標準からの絶対精度は公開している確度で十分と考えています。
校正精度と同等以上の安定度をもった標準器がありませんと、どれだけ良い校正精度で
校正しても安定度が悪いまたは不明ですと総合精度が落ちて意味がありません。

電気計測超精密研究所照合用標準器の中でも、最上位基準となる標準器は
フルーク 732A(DC10V)、esi SR104(10kΩ)などですが、日本電気計器検定所
(JEMIC)に直接トレースされた標準器を使用して長期経年変化(ドリフト)データを計算し
その校正値を使用して、こちらの上記の標準器が非常に小さな長期経年変化(ドリフト)
であることを確認することが、一番重要なポイントとなります。
つまり、良い基準器と言えるのは長期経年変化(ドリフト)データが明確で安定していること
が大切です。もちろん、基準がいくら良くても基準値以外の試験精度が悪くなったのでは
まったく意味がありません。その点の改良がこちらの研究主題とも言えます。

H19年になってからJEMICの校正精度が向上しましたので、こちらの校正精度も向上します。
DC10VではJEMICの校正精度0.02ppmと、従来の2.5ppmから100倍以上も
校正精度が向上しました。HP 3458A(S1)のDC10Vレンジの短時間安定度は0.1ppm
ですし、標準分圧器なども分圧精度が0.2ppm〜となっています。
電圧標準器も短時間安定度は0.1ppmまで安定している場合も多く、実測の経年変化も
0.5ppm未満の物も多くありますから、これらの標準器の性能を完全に発揮出来るレベルの
校正精度がようやく実現しました。校正精度が0.02ppmであれば、0.1ppmオーダは確実に
校正値は再現されますので、容易に経年変化などがわかります。
なお、10kΩでのJEMIC校正精度は0.3ppmとなっていますが、温度係数やその他の問題
により、0.1ppm以上の短時間/長時間安定度がある商品がごく一部を除きありませんから
一般的な照合用クラスの標準抵抗器(フルーク742A−10kやASR103、SR104など)の
実際の校正精度は0.2ppmあれば十分と考えられます。

校正元がJEMICなのは同じですが、別々の標準器を使ってこちらの標準器との比較校正を
実施致します。現状では公的機関のDC10V基準と10kΩですが、さらに計測器製造メーカの
DC10V基準と10kΩを同じ校正レベルで比較校正を実施致します。
上位となる標準器はいずれも、経年変化データがありますが、それらを考慮することで
さらに確実な校正確認がこちらの標準器で可能になります。

複数の標準器の中でHP 3458A(S1)アドバンテスト R6581メーカ校正済です。
HP 3458A(S1)は 新規購入から10年近くになりますが、内部基準の長期安定度は非常に
良く、メーカ校正の データを見ましても電気計測超精密研究所の各基準値とほとんど差が
ありません。なお、メーカ校正より1年以上経過した場合でも、これらは上記にあるこちらの
最上位基準となる標準器2つで随時内部基準の各安定度と校正値確認を実施しております。
現状ではいずれも非常に良い安定度になっています。なお、上記の2機種はDC10V基準と
10kΩのみの基準しか校正では必要と致しませんが、交流電圧/電流につきましても公的機関
の標準器などで再確認を実施しております。

校正には試験設備、管理データ記入書式、電気計測専門技術者が必要です。
設備は校正を行う機器より精度の高い校正器が必要で、その値はトレーサビリティ
の確保のため国家標準につながっていることが明確であることです。
管理データ記入書式はどの値をどの範囲で管理するかを記述、明記する必要があります。
電気計測専門技術者は校正方法を理解し、使用機器を熟知していなければ正しく校正
出来たことが確認・再現出来ません。

電気計測超精密研究所試験設備は校正に必要な基本的な機器は十分ありますので
特に校正時に確度・安定度・測定・発生に不足はありません。
管理データ記入書式は各種測定・発生器の測定・校正精度にある絶対 ・相対校正精度
基本的には管理しています。実際にはずっと高確度・高分解能で試験しています。
デジタルマルチメータを研究するようになったきっかけにありますように
電気計測超精密研究所・技術顧問の先生からいろいろ教えて頂きました。
校正用の使用機器を熟知するためだけでなく、校正する機器の使用方法も良く
わかるように、各種の取扱説明書を出来るだけ用意しています。

電気計測超精密研究所での不確かさはごく一部を除き、基本的には95%信頼水準
で計算しています。実際にはもっと良いのですが諸般の事情により余裕を見ています。

校正時の校正器と校正対象機器との確度比の話ですが、フルーク社最上位標準器
では 1:2 、 1:3 などがあります。アジレント社の5〜6桁マルチメータ校正
では 1:5 などとあります。汎用の4〜5桁半クラスでは 1:10 としているメーカも
あります。いろいろ考察があるかと思いますが、こちらでは基本的に 1:3 あれば
十分と考えています。もちろん、校正器の基準値が十分仕様に入っていることを
確認出来ている必要はあります。校正器、校正対象機器のいずれにしましても
短時間、長時間の安定度が悪ければいくら高精度で校正・調整しても意味がありません。
校正器や校正対象機器の仕様をそのまま見るのではなく、実測でどの程度かを
十分検証・確認すれば、実際にどの程度まで校正・調整出来るかもわかります。
電気計測超精密研究所では上記の実際の校正対象機器の安定度を見るために
いくつかの各種メーカの計測器を多数購入し、試験・校正を実施しています。

計量法校正事業者認定制度(JCSS)  (Japan Calibration Service System)
JCSSとは、計量法に基づく計量法トレーサビリティ制度の略称です。
電気計測超精密研究所JCSS認定事業者の申請をする予定はありません。
校正事業をメイン事業とすることは今のところ考えていません。
電気計測の超精密測定の研究が基本目的ですので公的機関の各種認定を
取得しますと、基準器の維持管理やそれらにともなう各種書類の整理・記録が
必要となりますので、本来の研究に支障がでると考えています。
こちらの標準器のJCSS校正も必要となりますし、その費用も高額であるが
こちらの研究では高精度の基準はいりますが、JCSS校正の必要はありません。
また、それらの校正費用を十分補える校正依頼などの需要もないと思います。
JCSS校正での最高測定能力に相当する部分は各種測定・発生器の測定・校正精度
で公開しております。
2009年11月現在では国内各社200近い認定数があるよう ですが、高精度の
校正器や測定器などを用意して、できあがっているマニュアルを 作って認定終了
では実際の校正では正しく出来ているか?
実際の技術能力や要注意点がわかっているか?

が非常に疑問です。
高精度の機器を用意すれば高精度で測定・発生が正しく出来るわけではありません。
標準器の自体の精度などよりも、そのほかに気をつかうことがたくさんあるからです。

電気計測超精密研究所JCSS、ISO/IECなどの 各種認定業者とは関係ありません。

校正事業は実施していますが、電気計測超精密研究所の基本方針は直流電圧、
直流電流、交流電圧、交流電流、直流抵抗、3桁半〜8桁半デジタルマルチメータの
研究、超精密測定となっています。そのため、基準値はトレーサビリティにありますように
各値はとても高確度で管理しています。校正は一般のアマチュア使用での計測器の
校正管理を安価で出来るようにと実施しています。一部機器は通常メーカ校正で
実施する調整も可能です。適切な調整なしであれば一般の校正業者でも可能です。
もちろん、デジタルマルチメータなどですと適切な調整をしなければ測定値は基準値から
どんどんズレていきます。こちらで校正・調整可能であればメーカ校正よりも安価に
校正出来ますので、お互いにメリットがあると考えています。
一部の標準器クラスを除き、通常使用では校正・調整済みであるほうが補正などの
必要がなく、機器仕様の範囲内で容易に使用が可能です。

お問い合わせ、見積、ご意見、ご要望、ご質問はこちらまでお願いします。

試 験 設 備 トップページ 電気計測超精密研究所のご案内 
照合用標準器